王様のブランチ!天童荒太最新作「ムーンナイト・ダイバー」とは!?2016年2月27日放送

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王様のブランチ! 

2016年2月27日放送

直木賞作家 天童荒太最新作

「ムーンナイト・ダイバー」とは!?をまとめてみました。



天童荒太さんの最新刊とは!?

1998年 永遠の仔、ベストセラー

2009年 悼む人、 直木賞受賞

常に人間の弱さや苦悩に真摯に向き合ってきた天童荒太さんの最新刊。

「ムーンナイト・ダイバー」


東日本大震災からまもなく5年。


2011年、3月11日この日を境に町の様子は一変した。

あれから間もなく5年を迎える。


天童荒太最新作「ムーンナイト・ダイバー」とは!?

月明かりの中、海に潜る一人のダイバーがいる。

瀬奈舟作(せなしゅうさく)が海底でライトをつけると浮かび上がってくるのは、波にさらわれ、破壊された町の風景。

家屋の屋根に車、オートバイ、誰かのハンドバッグや携帯電話。

それらはすべて大切な人が残した思い出の品々。

舟作は津波で愛する人、行方不明になった人々から依頼を受け、海底に沈んだ様々な思い出を引き上げていた。

しかし、そこは立ち入り禁止の海域。

防波堤の向こうに掲げられた照明灯と巨大な建屋が広がる光のエリア付近は、いまだ放射能汚染が警戒されている。

そこに潜る舟作の行動は、非合法だ。

見つかれば罰せられる可能性が高い。

舟作はなぜ、危険を冒して海に潜るのか、自らに問う。

なぜ潜る。聖域かもしれないのに、禁を侵せば、罰せられるかもしれないのに。


天童荒太 被災地フクシマで交わした約束とは。

5年前に震災がおきてから、幾度も東北へ足を運んでいる天童さん。

今作を執筆するにあたって、被災地である約束をした。

天童さん:「被災現場に行って、震災から4年目だったんですけど、まだ、波にさらわれた時のままの姿が残っているんです。「

「コンクリートの土台だけが残っている町がずっと続いてたりするんです。」

「被災地の海に直接手を触れて「書かせて頂きます」と約束をしてきました」

「それは、震災や放射の問題を含めて辛い思いをしている人々を小説で書くことは不遜なことではないかと思ったから、それに対して誠実にしっかり書きますと約束をしてきました。」


海の町に生まれ海とともに生きてきた舟作。

本文中には彼だからこそ感じる海の様々な表情が繊細に表現されています。


天童荒太 小説だからできる事。

報道のカメラは陸から防護服を着て入っていける。

ヘリコプターを使って空撮もできる。

でも、汚染されているかもしれない、立ち入り禁止の海に潜っていく。

海の底のさらわれた町とか愛しい人々の思い出とか悲しみを救い上げてこられるのは、小説しかできない。

小説だからできる!


執筆のためダイビング初挑戦の天童荒太さん

執筆までダイビングは未経験の天童荒太さん。

体験ダイビングを通して海中の感覚を掴む。

ちょっとの水深でもジッとしていることができない。

すぐになみにもっていかれてしまう。

海面を見上げた時の光の具合とかオーロラの具合をひとつひとつ掴んでいった。

実際潜ったからつかめた。


天童荒太最新作「ムーンナイト・ダイバー」の内容・行方

命を危険にさらしながら、依頼者のために海に潜る舟作。

彼もまた津波で身内を亡くし、妻子とともに故郷を離れていた。

舟作の胸中にはいつも罪悪感が渦巻いている。

なぜ、自分は生き残ってしまったのだろうと。

眞部透子との出会い

彼の夫も津波に巻き込まれ、今も行方が分かっていない。

そんな彼女から意外な言葉が、

「夫がしていた指輪を探さないでほしい」

突如現れた謎多き女性。

指輪を見つけたら、自分はどうするつもりか。

その女性の存在は舟作の心情に少しずつ変化をもたらしていく。


天童荒太 大人の愛の問題を書く

今回、書ける、書きたいと思った時に愛の問題をすごく書きたくなった。

大人の愛のあり方。三角関係。

ハイウッド的な大きなドラマがおきることが、ドラマではなくて、人間の心の揺れや行き違いがあるところに大人のドラマや本物のドラマがあると思っている。

人間ドラマであるとともに生きることへのドラマをかいた本作。


天童荒太 この作品からの影響、改めて思うこと。

震災直後はつながろうとしたのに、どんどん離れていって、目先の成績とか経済的な裕福さだけを求めようとするけれど、失われてしまったあの場所にこそ我々がもう一度本当に繋がりあって共に生きていく希望の光がある。

だからこと潜るのだ。

誰も潜らないから、誰かが潜らなければいけないのだと信じる。

3・11から5年目となるフクシマ。

3・11への祈りを込めた物語、

天童荒太「ムーンナイト・ダイバー」でした。


posted by いまるん at 18:41 | 王様のブランチ


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